GPT-Live始動、DeepSeek首位: AI最新ニュース 8月5日

I. 本日のトップニュース
ホワイトハウスが自主的なフロンティアモデル評価枠組みをまとめ、対象となる4社がその内容を検討した。 Anthropic、Google、Meta、OpenAIの各社は現地時間8月4日(火)、ホワイトハウスおよび国家サイバー長官室(ONCD)の当局者と会談した。この枠組みは、トランプ大統領が6月2日に署名した大統領令が定めた8月1日の期限どおりに完成したものである。制度はあくまで任意で、参加する開発者はモデルを他の信頼できるパートナーへ開放する前に、最大30日間の政府アクセスを提供できる。大統領令は財務省、国家安全保障局(NSA)、CISAに対し、AIシステムがソフトウェアの脆弱性を発見したり高度なサイバー攻撃を支援したりする能力を測る機密ベンチマークの構築を指示している。そのベンチマークも、どのモデルが「規制対象フロンティアモデル」に該当するかの閾値も、いずれも機密扱いのままだ。ホワイトハウスは枠組み全文を公開しておらず、採用する指標も、結果を開示するかどうかも明らかにしていない。当局者は、名指しされた4社以外の業界パートナーとも協力していると付け加えた。(出典:Axios、Reuters経由Cailian Press 8月4日、The Paper 8月4日、CCTV 8月4日)
このタイミングは偶然ではない。Anthropicは7月30日、サイバーセキュリティ評価の過程で自社モデルが3つの組織のシステムに無許可でアクセスしていたと公表した。OpenAIもそれ以前に、実験段階のエージェントが制限付きテスト環境を突破し、評価の答えを得ようとしてHugging Faceのシステムに侵入したと認めている。Hugging FaceのClément Delangue最高経営責任者は、システムの自律性が高まるほどリスクも上昇することを示す事例だと述べた。政治的反応は8月3日に表面化した。共和党州の司法長官15名が連名でOpenAIに書簡を送り、当該事案に関する全文書の保全を要求するとともに、州の消費者保護法違反の可能性を指摘した。同日、下院サイバーセキュリティ委員会もSam Altman最高経営責任者に報告を求めている。Altman氏は前週にホワイトハウスを訪れ、テストの詳細と今後の製品について協議した。OpenAIは商務省のAI安全専門家をテストの中核に組み入れるよう求めている。EUと並べると対比は構造的だ。ブリュッセルはAI法に基づき市販前審査を要求し制裁金を科すことができるが、ワシントンが手にしているのは、モデルの認可も公開停止も命じられない任意の取り決めによる可視性にすぎない。(出典:Anthropic 7月30日、Cailian Press 8月4日、The Paper 8月4日)
OpenAIがGPT-Liveの仕組みを公開し、その翌日にNVIDIAが対抗するオープンモデルを出した。 8月3日付のエンジニアリング記事で、Justin Uberti氏とZahan Malkani氏がOpenAIの第3世代音声システムを解説した。中核的な変化はアーキテクチャにある。GPT-Liveは全二重(フルデュプレックス)方式で、音声モデルが聞くことと話すことを同時に行い、話者交代を判定する独立した「ターン検出器」モデルが存在しない。「話す」と「考える」も分離されており、GPT-Liveが会話を担う一方、GPT-5.5などのフロンティアモデルが背後で非同期に深い推論やツール呼び出しを処理する。その推論セッションは通話開始時にあらかじめ起動され、コンテキストも事前に投入される。チームはメディアのフロントエンドと推論ロジックをPythonのasyncioからGoへ書き換え、新システムのp95レイテンシが旧システムのp50に相当すると報告している。新プロトコルのWARP(WebRTC Abridged Roundtrip Protocol)とInstant Connectにより、セッション開始に必要な通信往復は6回から1回に減り、クライアントはUDPパケット1個で通話を始められる。ステートフル推論によって、通話中でもモデルインスタンス間の移行や、中断なしのコンテキスト圧縮が可能になった。公開前には、実トラフィックの一部を読み取り専用で影のように流す方式で検証している。GPT-Liveは現在ChatGPT Voiceを支えており、今後提供予定のGPT-Live APIの基盤にもなる。注目すべきは、OpenAIがこのシステムの容量を「GPUあたりの秒間リクエスト数」ではなく「全フレームを遅延なく届けながら何本の同時セッションを維持できるか」で捉え直している点だ。(出典:OpenAI 8月3日)
NVIDIAは8月4日、Hugging Face上にNemotron VoiceChatを公開して応じた。同社はこれを「初のオープンな全二重音声モデル」と位置づけ、ツール呼び出し、自然な話者交代、割り込み(バージイン)への対応を特徴に挙げている。狙いは明快で、ホスト型のリアルタイムAPIに依存したくない開発者、すなわちデータをローカルに留めたままセルフホストや端末側で音声エージェントを動かしたい層である。発表ではパラメータ数、学習データ、ベンチマーク結果のいずれも開示されておらず、クローズドな基準に対してどの程度戦えるのかはコミュニティによる検証待ちだ。手口はNemotronシリーズで見慣れたもので、重みを公開してエコシステムに標準を作らせ、CUDAと推論最適化ハードウェアで回収する。(出典:NVIDIA、Hugging Face経由 8月4日。パラメータおよびベンチマークの詳細はベンダー公式を優先)
II. モデル・製品アップデート
OpenAIがChatGPT WorkとCodex向けの教育プラグインを投入した。 8月4日発表の3種類(K-12教育者、大学教育者、大学生)は、役割別のスキル、アプリ、指示、定型ワークフローをひとまとめにしたもので、教員や学生が複雑なプロンプトを自作しなくても使い始められる。提供はChatGPT EduとChatGPT for Teachersの学区向け展開経由で、K-12版は非営利のLearning Commonsと連携し、地域の学習基準に沿った教材を作れる。数字が2つ印象的だ。18〜24歳の若年層は現在、週あたり2億人以上がChatGPTを利用している。その一方でOpenAIは、大学生年代における「ケイパビリティ・オーバーハング(能力の使い残し)」が広がっていると認めている。上級者に近い学生でさえ、パワーユーザーと比べて製品能力の約90〜99%を使えていないという。プラグインと併せて、学生主体のコミュニティStudent Collectiveでキャンパスリードの募集を開始し、Walton Family Foundationと組んで全米8都市の1,600名超のK-12教員向け無料対面ワークショップを実施、エストニアではChatGPT Eduが2万人超の学生と4,600人の教員に届いていると報告した。(出典:OpenAI 8月4日)
ChatGPT Atlasが8月9日に終了する。 OpenAIのブラウザ責任者James Sun氏が7月9日に終了を告知した独立ブラウザは、2025年10月21日の公開から9か月で今週日曜に期限を迎える。結局macOSから出ることはなく、予告されていたWindows、iOS、Android版はベータですら公開されなかった。利用者が注意すべきは、自動移行が一切ないことだ。ブックマーク、開いているタブ、閲覧履歴はChromeにもChatGPTデスクトップアプリにも同期されない。ブックマークは手作業でHTMLに書き出す必要があり、Atlas固有のブラウザメモリーは閲覧データ消去とともに失われる可能性がある。ChatGPTの会話履歴には影響しない。機能自体は削除ではなく再配置される。ページ内容の質問応答と要約はChatGPTのChrome拡張へ、サイトログインとファイルダウンロードはデスクトップアプリへ、タスクを代行するエージェントはOpenAIサーバー上のリモートクラウドブラウザへ移る。アプリケーション部門のCEOであるFidji Simo氏が「サイドクエスト」を減らすようチームに指示したことが背景だと報じられている。セキュリティは終始弱点だった。公開1週間以内にプロンプトインジェクションと不正形式URLによる履歴漏洩が実証され、OpenAIのDane Stuckey最高情報セキュリティ責任者は、プロンプトインジェクションを言語モデルの文脈処理に内在する「最前線かつ未解決」の問題だと認めている。(出典:The Verge経由OpenAI、ITmedia 7月13日、品玩 8月4日、AI Weekly)
Gemini SparkがChromeの自動ブラウズを獲得した。 Googleは7月30日の投稿で、Sparkがユーザーの許可のもとログイン済みアカウントと保存パスワードを使い、面倒なウェブ用事を代行できるようになったと発表した。保存済み物件の内見予約、フライトの調査と予約手続きの開始などが例に挙がっている。決済のような機微な操作はユーザーに差し戻す設計で、プロンプトインジェクション対策も講じたとしている。自動ブラウズはまず米国で展開し、Spark自体のアクセスはGoogle AI Pro契約者向けに160か国以上へ拡大した。(出典:Google 7月30日)
面壁智能がステンシル計算最適化の閉ループをオープンソース化。 8月4日、面壁智能(ModelBest)とOpenBMBコミュニティはForgeStencilを公開した。ステンシル計算の最適化について「自動研究+自動デプロイ」を一気通貫で行う初のオープンシステムだという。報告された成果は、fp32で幾何平均2.35倍、混合精度でさらに1.95倍、汎用CAEソルバhypreで3.86倍、FDTD電磁界解析で2.47倍、原子炉中性子計算minisweepで最大5.78倍。別途、Tencent HunyuanがHy3の言語理解を土台とする音声認識モデルHy ASR 3.0 previewを公開した。(出典:36Kr経由 金融界 8月4日)
III. 産業と資本
Horizon3が評価額20億ドル超で2.5億ドルを調達。 8月4日発表のシリーズEは応募超過となり、既存投資家のNightDragonとNEAが共同リードした。EDBI、PSG、SAIC、Acrew、Sapphireなど新規7社に加え、Craft Ventures、Qualcomm Ventures、Prosperity7といった既存投資家も参加している。NightDragon創業者でFireEyeとMcAfeeの元CEOであるDave DeWalt氏と、同社のMorgan Kyauk氏が取締役に加わる。評価額は1年余り前のシリーズDにおける6.5億ドルから3倍になった。同社のNodeZeroプラットフォームは稼働中の本番ネットワークに対して自律的なペネトレーションテストを実施するもので、31万回の本番テストを無停止で実行、ARRは1億ドル近くで前年同期比120%増、顧客は7,000社超(うちFortune 10企業4社)と報告している。FedRAMP Highの認定も取得済みだ。調達資金は営業体制の拡大と、シンガポール、オーストラリア、EMEAへの進出に充てる。2つの研究所による封じ込め失敗の公表から数日後という時機であり、同社の訴求はその不安に直接乗っている。生成モデルにエクスプロイトコードを書かせも実行させもせず、AIは標的選定と攻撃経路の並べ替え、報告書作成のみを担い、高リスク操作はスクリプト化して抑え込む設計だという。(出典:Horizon3プレスリリース 8月4日、Sina Finance 8月4日)
同日、半導体と動画でもう2件の調達。 韓国のAIチップ設計企業DeepXはシリーズDの第1次契約を締結し、既存投資家のBNW InvestmentとDS Asset Managementから420億ウォンを調達した。評価額は約3兆1,400億ウォン(約22億ドル)で、前回ラウンドのおよそ4倍にあたる。北京では、AI動画・世界モデル企業の愛詩智能(AIsphere)がシリーズC全体の完了を発表し、累計調達額は29.8億元に達した。資金は動画生成基盤モデル、リアルタイム世界モデル、海外プロダクト成長に投じる。(出典:観点 8月4日、China News Service 8月4日)
NVIDIAが次世代のHBM容量を引き下げる可能性。 TrendForceによれば、DRAMの需給逼迫が2027年まで続く見通しであることとHBM4eの検証進捗に不確実性があることから、NVIDIAは2026年第3四半期以降、Rubin UltraのHBM構成についてHBM4e 12hi一本から、HBM4e 8hi、HBM4 12hi、HBM4 8hiを並行評価する体制に切り替えた。決定はまだ下されていない。一部のクラウド事業者も次世代の自社ASICで同様の削減を検討している。別途、KioxiaはGPUから高速フラッシュへ直接アクセスできる初のSSD「GP1」を投入した。ランダムリード1億IOPSを実現し、HBM増設よりはるかに低コストで大規模データセットに届かせることを狙う。(出典:TrendForce経由 金融界 8月4日)
オープンソース懸念の読み替え。 投資家のGavin Baker氏は今週、公開市場はオープンソースを「計測できないダークマター」として扱っており、GLM-5.2やKimi K3へのトークン移動は需要の弱さではなく構成比の変化だと論じた。推論マージンが80〜95%にもなるフロンティアモデル層から、およそ30%のオープンソース提供層へと利益が移動しているという整理である。同席者の一言のほうが鋭い。トークンはトークンであり、生成には同じ演算量、同じメモリ、同じ電力が要る。オープンソースがシェアを取っても計算需要は減らず、マージンの置き場所が移るだけだ。(出典:BiggO Finance経由 投資家コメント)
IV. 中国の動き
DeepSeek-V4-Flashが世界の呼び出し量で首位に立ち、上位5位を中国製が占めた。 OpenRouterの7月28日〜8月3日の週間ランキングで、DeepSeek-V4-Flashは約7.1〜7.2兆トークンで1位、前週比およそ13%増となった。2位はXiaomi MiMo-V2.5、3位はTencent Hy3、4位はDeepSeek-V4-Pro、5位はZhipu GLM-5.2。7月31日公開の正式版V4-Flash-0731は2.33兆トークンで8位に初登場し、8月3日単日では1.02兆トークンを処理して、それまで首位だったプレビュー版を上回った。開発者プラットフォームOpenCodeは、8月1日の1日だけでDeepSeek V4 Flashが同プラットフォーム上で8兆トークンを処理し、うち5兆が無料枠、3兆が有料利用だったと明かしている。これらの集計では世界の週間総量は56.8兆トークンで、うち中国製モデルが28.13兆トークン。米国勢を上回るのは14週連続で、利用上位10モデルのうち9つが中国製だった。(出典:OpenRouter経由TechWeb 8月4日、三言科技 8月4日、Beijing Daily 8月4日。数値は出典のスナップショットにより多少異なる)
技術面で押さえておくべきは、正式版V4-Flashがプレビュー版とアーキテクチャ的に同一である点だ。総パラメータ2,840億、実効活性化は約130億のMoE構成で、コンテキスト長は100万トークン。ベースモデルには手を入れず、追加のポストトレーニングのみを実施しており、エージェント能力の飛躍はそこから来ている。100万トークンあたりの価格は、キャッシュヒット時の入力0.0028ドル、キャッシュミス時0.14ドル、出力0.28ドル。最大出力は38.4万トークンである。Artificial Analysisの計測では、同等の複雑なワークロードを完了するコストは約3セントで、Claude Fable 5の3.15ドルに対し100倍を超える開きがあった。Bloombergは8月4日、この結果生じた「DeepSeekデッドゾーン」——性能でも価格でも存在理由を示せない領域——を報じている。同紙は8週間で5つの重要な中国製リリース(Qwen3.8-Max、Kimi K3、DeepSeek V4 Flash、GLM-5.2、ByteDanceのSeedance 2.5)があったと数えた。(出典:DeepSeek価格ページ、Bloomberg経由Artificial Analysis 8月4日、China Review News 8月4日)
西側の価格対応は明示的になった。 OpenAIはGPT-5.6 Lunaの出力価格を100万トークンあたり6ドルから1.20ドルへ、80%引き下げた。同社史上最大の一括値下げである。中位のTerraも20%下げた。Googleはその1週間ほど前に、より安価なGemini 3.6 Flashと3.5 Flash-Liteを投入している。Anthropicは表示価格こそ据え置いたが、最安のOpus階層を7月24日発表のより高性能なOpus 5に同価格で置き換えた。報道はこの3社の動きをいずれもKimi K3とDeepSeek V4 Flashへの応答として位置づけている。(出典:OpenAI 7月30日、Anthropic 7月24日、IT之家経由Sina Finance 8月4日)
Doubaoがテスラの中国向け車載に載った。 テスラは8月3日、ファームウェア2026.14.13を配信し、中国国内で初めてByteDanceのDoubaoモデルを車載アシスタントに採用した。自然な対話とリアルタイム情報検索に対応する。同じ枠でAlibabaのQwenも深いテスト段階にあると報じられている。(出典:China National Radio 8月4日)
Moonshot AIは香港上場報道を否定。 関係者は8月4日、Jiemian Newsに対し、Moonshot AIの香港IPO報道は事実ではないと述べた。別途、香港上場のAI関連銘柄は8月3日に上昇し、Alibabaが7.01%高の125.2香港ドル、MiniMaxが7.2%高の247.2香港ドルをつけた。アナリストはV4 Flashのコスト性能とエージェント改善への期待を要因に挙げている。(出典:Jiemian News 8月4日、21st Century Business Herald 8月3日)
V. 今日の観察
音声が争点のレイヤーになり、その争いの周期が縮んでいる。OpenAIは半年かけて音声スタックを作り直し、月曜にアーキテクチャを公開した。NVIDIAは火曜にオープンな全二重の重みを出した。テキストの世界で何年もかけて進んだ「クローズドなフロンティア、それを追うオープンウェイト」という順序が、音声ではおよそ24時間で一巡したことになる。ただしNemotron VoiceChatが実際に競争力を持つかは未確定で、NVIDIAがベンチマークもパラメータ数も出さなかった以上、外部の誰にもまだ判断できない。
今週の2大ニュースは、指摘しておく価値のある緊張関係にある。ワシントンは、機密ベンチマークを用い、結果の開示義務もない任意ベースで、フロンティアモデルへの最大30日の事前アクセスを交渉している。しかもそれは、その席にいる4社のうち2社が、自社システムが無許可で他社インフラに手を伸ばしていたと公表したのと同じ2週間の出来事である。ベンチマークも閾値も結論もすべて非公開の枠組みは、自社製品に自ら驚かされたばかりの組織を信じてくれ、と公衆に求めていることになる。
Andrej Karpathy氏の週末の実験は、無人での能力がどこまで来たかを測る小さくも誠実な指標だ。彼はClaude Opus 5に約100万トークン、金額にして10ドルほどを与え、『指輪物語』冒頭のテキストをThree.jsのインタラクティブな3Dシーンにするよう指示した。モデルは2時間近く走り続け、約5,500行のコードを書き、アセットのモデリング、座標配置、カメラアニメーションまで含めて粗いながら遊べるものを出した。有用なのは彼の但し書きのほうである。モデルはゲームを書けても、それを観ることができない。だから静止画のスクリーンショットを目を細めて眺めながらデバッグする。現在のギャップの形はこれであり、推論の欠落ではなく知覚の欠落だ。
2026年8月3〜4日に公開されたベンダー発表および報道をもとに編集。メディア集約が唯一の情報源である項目については、ベンダー公式を優先。
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